ジュニアテニスとスマホ/SNSの危険性——成長期の心と脳を揺さぶるもの

ジュニア選手にとってのスマホの危険性
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「問題は“便利さ”ではなく、“心と脳が未完成な時期”にあります。」

スマホやSNSは、今や子どもたちの生活に欠かせない存在です。

しかし世界では、未成年とスマホ・SNSの関係性をメンタルヘルスの観点から見直す動きが急速に広がっています。

ジュニアテニスという成長期のスポーツにおいて、スマホはどんな影響を持ち、どこに危険性があるのか。最新の研究や国際的な動向をもとに、丁寧に整理します。

目次

各国で進む「未成年×SNS」への規制と警告

スマホやSNSが子どもたちの生活に深く入り込むなかで、未成年の心を守るための政策や警告が、世界各国で相次いでいます。

象徴的なのが、オーストラリアの動きです。

オーストラリアでは、16歳未満のSNS利用を制限する枠組みが導入され、プラットフォーム側に年齢確認や未成年保護の責任を強く求めています。背景にあるのは、思春期の不安や抑うつ、自傷行為とSNS利用との関連に対する懸念です。

同様の問題意識は、アメリカでも共有されています。

米国では外科総監(Surgeon General)が、SNSは未成年のメンタルヘルスにとってリスクになり得ると公式に警告を発しました。利用そのものを否定するのではなく、「発達途中の子どもには大人の関与が不可欠である」という立場です。

イギリスでは、オンライン上の有害コンテンツから子どもを守るための法整備が進み、年齢確認やアルゴリズムの透明性など、企業側の責任が厳しく問われています。

さらに欧州連合(EU)全体としても、「子どもの発達段階に配慮したデジタル環境設計」が明確な原則として掲げられています。

これらに共通しているのは、「スマホやSNSが悪い」という単純な話ではなく、発達途中の心と脳にとっては刺激が強すぎる可能性があるという認識です。

規制や警告は感情論ではなく、予防的に子どもを守ろうとする国際的な流れだと言えるでしょう。

メンタルヘルス:時間よりも“使い方”が心を揺らす

近年の研究では、スマホやSNSの利用と、不安感・抑うつ・自尊感情の低下との関連が数多く報告されています。ただし重要なのは、研究者たちが一貫して「単純な因果関係ではない」と指摘している点です。

「SNSを使うからメンタルが悪化する」のではなく、「もともと不安や孤独を抱えている子ほど、SNSに長く・強く引き寄せられる」可能性も示唆されています。

また、単なる使用時間よりも、

  • やめたくてもやめられない
  • 見られないと強い不安を感じる
  • 生活や睡眠に支障が出ている

といった依存的・強迫的な使い方が、メンタルヘルス上のリスクとより強く結びつくことが分かってきました。

ジュニアテニスの世界では、試合のプレッシャー、負けた悔しさ、レギュラー争い、他人との比較といったストレスが日常的に存在します。

私は、競技ストレスが高い時期ほど、SNSが「逃げ場」になる一方で、他人との比較や否定的な情報によって心の揺れを大きくしてしまう可能性があると考えています。

メンタルが不安定な状態では、集中力や判断力が落ち、テニス本来のパフォーマンスにも影響しかねません。だからこそ、各国が最も強く警戒しているのが、この「心への影響」なのです。

脳への影響:発達途中の“集中力”と“我慢する力”は守られているか

思春期の脳は、感情や衝動をコントロールする前頭前野がまだ発達途中にあり、同時に「快」を求める報酬系が非常に敏感な時期です。

スマホやSNSは、短時間で強い刺激や達成感を与えるよう設計されています。

研究では、こうした環境に長時間さらされることで、

  • 注意が細切れになる
  • 集中を長く保つのが難しくなる

といった可能性が指摘されています。

ただし、ここでも「断定」は避ける必要があります。脳への影響は現在も研究が進行中であり、すべてが解明されているわけではありません。

そのうえで私は、ラリーを我慢し、ミスの後に気持ちを切り替え、長時間集中し続ける必要があるテニスと、短い刺激に慣れた脳は、相性が良くない場面があるかもしれないと考えています。

睡眠:心・脳・パフォーマンスをまとめて削る“静かなリスク”

スクリーンタイム、とくに就寝前のスマホ使用が、

  • 入眠の遅れ
  • 睡眠時間の短縮
  • 睡眠の質の低下

と関連することは、多くのメタ分析で示されています。

睡眠不足は、感情のコントロールや集中力に影響し、結果として試合中の判断ミスやイライラにつながりやすくなります。

「夜遅くまでスマホを見ているだけ」と思われがちですが、その積み重ねが、心と脳、そしてパフォーマンスを静かに削っていくのです。

目と身体:近視リスクと“屋外時間の減少”

長時間・近距離でのスクリーン使用と近視リスクの関連も、国際的に報告されています。
また、スマホ時間が増えることで屋外活動が減ること自体が、視力や身体活動量に影響する可能性も指摘されています。

屋外で体を動かす時間が多いテニスは、本来この点で大きな強みを持つスポーツです。その強みを、スマホが奪ってしまわないようにしたいところです。

保護者にできること:ジュニア選手のための「スマホとの距離感」を育てる

ここまで見てきたように、スマホやSNSの危険性は「使うか・使わないか」という二択では語れません。

重要なのは、発達途中の心と脳に配慮した“使い方の設計”です。

世界の研究や各国の警告を踏まえると、家庭やチームで意識したいポイントは、大きく分けて3つあります。

① まず守りたいのは「睡眠」──夜のスマホを最優先で管理する

多くの研究で共通しているのは、就寝前のスクリーン使用が、睡眠とメンタルの両方に影響しやすいという点です。

そのため最初に取り組むべきは、

  • 夜〇時以降はスマホを使わない
  • 充電場所を寝室の外にする
  • 試合前日は“デジタルオフ”の時間を作る

といった、時間帯にフォーカスしたルールです。

私は、「スマホ管理=しつけ」ではなく、「睡眠を守るための環境づくり」と捉えることが、親子ともにストレスを減らすと考えています。

② 問題は“時間”より“状態”──依存サインを見逃さない

研究では、単なる使用時間よりも、依存的・強迫的な使い方がメンタルヘルスと強く関連することが示されています。

たとえば、

  • 取り上げると極端に怒る・不安定になる
  • スマホがないと落ち着かない
  • 寝不足や遅刻、集中力低下が続いている

こうした変化は、「使いすぎ」ではなく「状態の変化」として見る必要があります。

私は、「ルールを破ったかどうか」よりも、「最近の様子はどうか」に目を向けることが、育成期には重要だと考えています。

③ 禁止ではなく「一緒に考える」──距離感を“教える”という視点

各国の規制や専門家の警告が示しているのは、未成年が一人でスマホと向き合うのは難しいという現実です。

だからこそ、

  • なぜ制限が必要なのか
  • なぜ今は距離を取るのか
  • 大人はどう使っているのか

を、親子で言葉にして共有することが欠かせません。

私は、スマホを「管理されるもの」から「自分で扱うもの」へ移行していく過程そのものが、ジュニア選手の自己管理能力を育てると考えています。

テニスで道具の使い方を学ぶように、デジタルとの付き合い方も、育成が必要なのです。

小さな実践例(家庭でできること)

  • 「大会期間中はSNSを見ない」という短期ルール
  • スマホ使用時間を一緒に振り返る週1の会話
  • 親自身が“スマホを置く姿”を見せる

完璧である必要はありません。試し、話し、修正する。その繰り返しが大切です。

スマホは敵ではない。でも、育成期には“強すぎる道具”になる

スマホやSNSは、正しく使えば情報やつながりを与えてくれる便利な道具です。

しかし、心・脳・身体が同時に育つジュニア期においては、刺激が強すぎる場面があることも、世界の研究と各国の動きが示しています。

「持たせるか、禁止するか」ではなく、どう扱い、どう距離を取るかを、親子で一緒に考えること。

それこそが、ジュニアテニス選手の成長を守る第一歩になるのではないでしょうか。

引用・参考

・各国政府・公的機関による未成年SNS規制・警告
・スクリーンタイムとメンタルヘルス、睡眠、近視に関する国際的メタ分析・系統的レビュー(2019–2024)

ジュニア選手にとってのスマホの危険性

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