はじめてのラケットは、「上手く打てるもの」より「持ちたくなるもの」を。
テニスを始めるとき、必ず悩むのがラケット選び。
店頭に並ぶラケットは、大人用・ジュニア用・軽量モデルと種類が多く、「どれを買えばいいの?」と迷う保護者も多いでしょう。
でも大丈夫。
大切なのは“高価なモデル”でも“有名選手と同じラケット”でもありません。
子どもの体に合い、「打っていて楽しい」と思える一本を選ぶことが何より大切です。
ジュニア用テニスラケットは“身長”で選ぶのが基本
ジュニアラケットは、年齢よりも身長と腕の長さで選ぶのが正解です。
下の表を目安にして、子どもがラケットを持ったときに自然にスイングできるかを確認しましょう。
| 身長(目安) | ラケットサイズ(インチ) | 代表的な対象年齢 | 目安モデル例 |
|---|---|---|---|
| 100〜115cm | 19〜21インチ | 4〜6歳 | Wilson 19/YONEX EZONE 21など |
| 115〜130cm | 23インチ | 6〜8歳 | HEAD Boom Jr 23/Babolat Pure Drive 23 |
| 130〜145cm | 25インチ | 8〜10歳 | YONEX VCORE 25/Wilson Blade 25 |
| 145cm以上 | 26〜27インチ | 10歳〜 | Babolat Aero 26/HEAD Speed Jr 26 |
■ワンポイントアドバイス
①ラケットを立てて地面に置いたとき、「グリップが手首の少し下」にくるサイズがベスト。
②「大きめを買って長く使おう」はNG。重すぎるとフォームが崩れ、ケガにつながります。
軽さとバランスが“打ちやすさ”を決める
ラケット選びの2大要素は重さ(ウェイト)とバランス(重心位置)です。
軽すぎると打球が安定しにくく、重すぎると振り抜けません。
| 項目 | 軽量モデル | 標準モデル | 重めモデル |
|---|---|---|---|
| 重さの目安 | 180〜230g | 240〜270g | 280g以上 |
| 特徴 | 振り抜きやすく初心者向き | 安定感と扱いやすさのバランス | 打球が強く飛ぶが体力が必要 |
| おすすめ層 | 小学低〜中学年 | 小学高学年〜中学生 | 競技志向の選手 |
■ワンポイントアドバイス
①子どもが「振るのが楽しい」と感じる重さを選びましょう。
②少し軽めから始めて、上達に合わせて重くしていくのが理想です。
グリップサイズとガット(ストリング)の選び方
🔸グリップサイズ
手の大きさに合わないグリップは、手首やひじの負担の原因になります。
子どもの場合、基本は一番細いサイズ(G0〜G1)が目安。
握ったときに、指先と手のひらの間に指1本分のすき間があるとちょうどいいです。
🔸ガット(ストリング)
最初は「ナイロンガット(ソフトタイプ)」がおすすめ。
ボールがよく飛び、ひじへの衝撃も少ないため、フォームづくりに最適です。
張りの強さ(テンション)は40〜45ポンドくらいが基準。
■ワンポイントアドバイス
ガットは“消耗品”。3〜4か月に一度の張り替えで打球感が戻り、上達も早くなります
試打と「本人の感覚」を大事に
ラケットは、スペック表や他人のおすすめだけでは分からない“打ったときの感覚”がとても大切です。
できればスクールやショップで試打(しだ)をさせてあげましょう。
子どもが「これ、打ちやすい!」「音が気持ちいい!」「この色が好き!」と言うなら、それが正解です。
テニスは“感覚のスポーツ”。最初の「心地よさ」や「ワクワク感」が、そのまま上達のエネルギーになります。
親が感じた印象を伝えることは大切ですが、
「このメーカーの方が有名だから」
「もっと重い方が練習になる」
「デザインより性能で選びなさい」
といった“親の持論”を押しつけてしまうと、子どもの感覚が迷ってしまいます。
子どもが「これがいい!」と選んだラケットを尊重することは、自己判断力と自信を育てる最初のレッスン。
親は“選んであげる人”ではなく、“選ぶ力を見守る人”でありたいですね。
ラケットは“成長とともに変わる”
テニスを続けると、身長や筋力に合わせてラケットを替えるタイミングがやってきます。
一般的には、
- 年1回の買い替え(ジュニア期)
- 身長が5cm以上伸びたとき
が目安です。
買い替えのときは、子どものフォームを見ているコーチに相談するのが安心です。
無理に高価なモデルを買うより、そのときの身体と感覚に合う1本を選ぶことが、長い目で見て上達につながります。
まとめ
ラケット選びは、子どものテニス人生の最初の大きな分かれ道。
でも難しく考えすぎなくて大丈夫。
「このラケット、好き!」という気持ちがあれば、きっと良い1本に出会えています。
親ができるのは、“正しい知識”と“やさしい後押し”。
その笑顔が、きっとテニスの楽しさを長く支えてくれます。
引用元:
- ITF (2022). Junior Equipment and Development Report.
- Wilson, YONEX, HEAD, Babolat 各社公式ジュニアモデルデータ(2024年時点)

