第5章|はじめての大会に出るまで― ドキドキを“楽しい経験”に変えるために ―

初めてのテニスの試合
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勝つより大切なのは、「挑戦してみたい」と思えた気持ち。

初めての大会。

「ルールは?」
「申し込み方は?」
「親は何をすればいいの?」

子どもも親もわからないことだらけのスタートラインです。

でも大丈夫。大会は“上手な子だけの場所”ではなく、みんなの挑戦の場

ここでは、はじめての大会を笑顔で迎えるために、準備から当日までをやさしくガイドします。

目次

「大会に出る」ということの意味

初めての大会では、緊張するのが当たり前です。
でもその緊張こそが、子どもにとって大切な“成長の瞬間”。

国際テニス連盟(ITF)のジュニア育成報告書によると、

「試合経験のある子どもは、プレッシャー耐性・集中力・自己表現力が高い傾向にある」
(引用元:ITF, 2023/Junior Player Development Study)

つまり、“試合”とは技術を測る場ではなく、心を育てる学びの時間なのです。

|大会の種類を知ろう

ジュニア大会には、レベルや目的によってさまざまな種類があります。
「まずどんな大会に出ればいいの?」というときは、次の表を参考にしてみてください。

大会の種類主催特徴レベル感
スクール内マッチ/練習試合スクール・クラブ自分の仲間と試合形式の練習。初心者向け。★☆☆☆☆
ローカルジュニア大会テニスクラブ・地域協会小学生・中学生対象。経験者〜初級者も参加可能。★★☆☆☆
JOPジュニア大会(日本テニス協会公認)日本テニス協会全国ランキングがつく公式大会。★★★★☆
ITFジュニア/海外大会国際テニス連盟海外志向の上級選手向け。★★★★★

🧭最初の一歩のおすすめ
スクール内マッチ or 地域のローカル大会(いわゆる“ビギナー大会”)

同年代・同レベルの子どもが集まる環境は、安心感もあり、「また出たい」と思いやすくなります。

初心者でも参加できる大会を調べる方法

以下のステップを踏むと、「どんな大会があるか」「うちの子でも出せるか」が整理できます。

1.大会情報サイト・専用ポータルをチェックする

NPOテニスネットワークの「ジュニア試合初心者大会一覧」など、初心者向け・“試合初心者”“ビギナー”と明記された大会が一覧されています。

全国的な大会検索サイト(例:Tennis Bear「ジュニア大会一覧」)も活用できます。

2.スクール・クラブの掲示やコーチに聞く

子どもが通うスクールやクラブは、地域のジュニア大会・ビギナー大会の情報を持っていることが多いです。

「初心者でも出られます」「プチシングルス形式」などの大会も案内してもらえるので、体験や見学の際に確認しておくと安心です。

3.大会要項をチェックする

大会に出る前に、以下の点を確認しましょう:

年齢区分・クラス(例:10歳以下、12歳以下)
レベル区分(ビギナー/初心者・中級・上級)
参加費・エントリー方法・締切日
試合形式(シングルス/ダブルス/プチシングルス)
会場・コートの種類・移動の負担

4.参加を決めたら親の準備もチェックリスト化

大会という非日常の場に出ると、子どもも親も緊張しがち。

以下を準備しておきましょう:

ラケット・予備ラケット
十分なボール・替えのウェア・飲み物・軽食
会場までの移動手段・時間余裕
大会の流れ(受付・ドロー・ウォームアップ)を事前に説明しておく

初心者向けのおすすめの大会

以下、初心者にも参加しやすい大会の例を紹介します。

スクスクのっぽくんカップ:関東・関西で年間250大会以上開催。初心者から、試合経験を積みたいジュニアまで参加可能です。

NPOテニスネットワークの「ジュニア試合初心者大会一覧」:小学生10歳以下や12歳以下など、初心者区分の大会が明記されています。

プチシングルス大会:最低5試合が保証される、練習にはもってこいの大会。珍しい時間制限マッチ。

大会申し込み〜当日の流れ

初めての大会では、「何を準備すればいいの?」という親の不安がつきもの。
大まかな流れを知っておくだけで、ずっと安心して見守れます。

大会前の準備

  1. 大会を探す:スクールやクラブの掲示板・Webサイト・tennis365などで情報をチェック。
  2. 申し込み:オンラインまたはスクール経由でエントリー。締切日を必ず確認。
  3. 必要なものを準備:ラケット2本、飲み物、軽食、帽子、タオル、予備ウェアなど。

試合当日の流れ

  • 会場到着(開始1時間前が理想)
  • 受付・ドロー(組み合わせ)確認
  • ウォームアップ5〜10分
  • 試合(1セットマッチなど)
  • 終了後、相手と握手・「ありがとう」の挨拶

🧡親の役割
試合中は“観客”に徹する。
指示やアドバイスは禁止。応援は拍手で。

セルフジャッジを理解しておこう

ジュニア大会では、審判がいない“セルフジャッジ”が基本です。
つまり、自分たちで「イン/アウト」を判断するというルール。

これは単に公平さを守るためではなく、スポーツマンシップを学ぶ教育の一環です。

🧩基本ルール
自分のコートに入ったボールは自分が判断する。
迷った場合は「イン」にするのが原則。
相手に疑問がある場合も、冷静に「確認していい?」と声をかける。

トラブルが起きても、親がコートに入るのはNG。
どうしても解決しない場合は、運営スタッフやレフェリーに相談しましょう。

そういう一つひとつが、子どもの成長につながります。

試合後の声かけで、すべてが変わる

試合のあと、子どもが泣いたり、黙り込んだりすることもあります。
そんなとき、親がかける一言で次のモチベーションが変わります。

「勝てたね!」よりも「最後までよくがんばったね」
「なんで負けたの?」よりも「次、どうしたい?」

ITFの心理学レポートによれば、

試合後に“プロセスをほめる”言葉をかけられた選手ほど、次の練習意欲が高かった
(引用元:ITF, 2024/Parental Influence on Junior Athletes)

つまり、結果ではなく“姿勢”を認める声かけが、長く続ける力を育てます。

まとめ

初めての大会は、勝つことよりも「出てみよう」と思えたこと自体が成功です。

大会を通じて、子どもは自分の中に「挑戦する心」と「人を尊重する目」を育てていきます。

親はそのそばで、静かに拍手を送るだけで十分。
その拍手が、次の一歩への力になります。

引用元

  • ITF (2023). Junior Player Development Study.
  • ITF (2024). Parental Influence on Junior Athletes.
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