「折れない心は、“支える環境”の中で育つ。」
テニスで結果を出すために、技術や体力だけでなく“心の強さ”が欠かせないことは誰もが知っています。
でも、ジュニア選手の「心の成長」をどう支えればいいのでしょうか?
そのヒントが、Tennis Europe主催のウェビナー「Raising Resilient Athletes(レジリエントなアスリートを育てる)」で語られました。
ジュニアが「レジリエンス」でつまずく理由とは
ウェビナーでは、メンタルコーチングアプリ「Vodar」を共同開発したカリーナ・カラガエヴァ氏が、まず問いかけました。
「なぜジュニア選手は、レジリエンスを身につけるのが難しいのでしょうか?」
その背景には、以下の4つの要因があるといいます:
ジュニア選手が、レジリエンスを身に付けるのが難しい理由
① 前頭前野(感情や判断を司る脳の部位)が発達途中であること
② 周囲からの評価(外的承認)を強く求める傾向があること
③ 過保護または過度に批判的な環境
④ 適切なメンタル指導の不足
こうした要素が重なることで、失敗を恐れたり、プレッシャーに押しつぶされやすくなると指摘されました。
「バランスの取れた環境」が子どもの心を強くする
カラガエヴァ氏は、親やコーチができる最も大切なことは「バランスの取れた環境づくり」だと語ります。
厳しさと温かさ、挑戦と休息、指導と自立——その両立が、選手が自分の感情をコントロールし、立ち直る力を育てる土台になります。
レジリエンスは「システム」として育てる
続いて登壇した共同創設者のラディネラ・ディミトラコヴァ氏は、「レジリエンスは偶然ではなく、習慣として育てるもの」だと説明しました。
呼吸法やルーティン、目標設定などを組み合わせて、日常の中に“回復の仕組み”をつくることが重要だといいます。
親ができる一歩:「完璧」より「寄り添う」
ウェビナーの参加者の約7割は保護者だったそうです。多くの質問が寄せられたことからも、親たちが“どう支えるべきか”に強い関心を持っていることが分かります。
専門的な心理学の知識がなくても、子どもの失敗に寄り添い、「一緒に考えよう」と声をかけることが、最初の一歩になるのかもしれません。
心の強さは、日々の関わりから
レジリエンスは特別な才能ではなく、日常の積み重ねで育つ力です。
テニスを通して「結果に一喜一憂する自分」を受け入れ、再び前を向ける子どもたちを、私たち大人がそっと支えていきたいですね。
(引用元:Tennis Europe, 2025/Webinar “Raising Resilient Athletes”)
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