「14歳の“今”は、プロの“いつか”につながっている。」
ジュニアテニスの世界には、「ここで活躍した子が将来トップに行く」と語られる舞台があります。
フランス南西部タルブで行われるU14国際大会「Les Petits As(プチザス )」は、その代表格です。
この記事では、歴史・仕組み・空気感まで含めて、この大会の“特別さ”を立体的にほどいていきます。
14歳の“世界選手権”は、タルブにある―「Les Petits As」の正体
Les Petits Asは「世界で最も権威あるU14(14歳以下)の国際大会」です。まさに、U14世代の「ジュニア世界選手権」と見なされる位置づけにあります。
会場は見本市会場を大きく使った屋内開催で、大会期間中だけ“テニスの街”が出現するようなスケール感があります。競技コートと練習コートがまとまって配置され、公式球やコート仕様まで細かく整えられているため、U14とはいえ運営の雰囲気はすでに国際大会そのものです。
もう一つの特徴が、街全体で迎える空気です。観戦しやすい動線があり、代表団の往来や多言語が飛び交う光景が日常になる。ここに来るだけで「世界の同世代がどんな環境で競っているのか」が肌で分かります。
1983年、4か国50人から始まった――「大会を育てる」文化
Les Petits Asは、1982年に構想され、1983年に第1回大会が行われました。スタート時は4か国・50選手という小さな規模で、運営15人・スポンサー2社という規模でした。
それでもこの大会が大きく育った背景には、「選手だけのための大会」にとどめない発想がありました。観戦文化が根づき、地域の人が関わり、ボランティアが支える。勝敗のドラマだけではなく、“大会そのものを育てる温度”が積み上がっていったのです。
また、早い段階から裾野を広げる仕組みも整えられてきました。フランス国内でプレ予選が組まれ、多くの子どもたちが挑戦できる階段がつくられていったことは、Les Petits Asが単なる招待制のショーケースではないことを物語っています。
“世界の強豪が集まる理由”――スーパー・カテゴリーと予選網
Les Petits Asが「世界の強豪が集まる大会」であり続ける理由は、格付けと選考ルートsの両方が揃っているからです。近年はTennis Europeの枠組みの中でも最上位(Super Category)の一角として位置づけられ、U14世代のトップ層が自然と集まりやすい構造になっています。
さらに、欧州だけで完結させず、米国やアジアなど各地に“入口”を設けてきたことも大きい点です。
地域ごとのプレイベント(Playoffs)を通じて候補が集まり、結果として密度が高い大会になっていきます。
一度負けても終わらない――“試合数”を残す大会設計
Les Petits Asは本戦だけの一発勝負ではなく、予選や複数の導線が用意され、さらに早期敗退者のためのコンソレーション(敗者戦)も組まれています。
この形は、遠征の価値を大きく変えます。たとえ本戦の壁に跳ね返されても、現地で“もう一つの実戦”を経験できる。世界の同世代と同じ環境で試合を重ねられること自体が、何よりの学びになります。
こうした構造は、「結果」だけでなく「経験」を重視する国際ジュニアの思想に近いものです。勝ち上がる選手を選びながらも、挑戦した選手に成長できる機会を残してくれる。
だからこそ、この大会は“育成の現場”としても語られ続けるのだと思います。
勝者名簿は“未来の名刺”――2025王者からナダルまで
Les Petits Asが「登竜門」と呼ばれる最大の理由は、ここを通った選手たちのその後です。大会の歩みの中には、のちに世界の頂点へ進んだスターの名前が並びます。
そして近年も、毎年の優勝者がきちんと記録され、次の世代の“主役候補”として注目されていきます。いまは無名でも、数年後にツアーで耳にする名前になるかもしれない。そう思わせるだけの系譜が、この大会にはあります。
Les Petits As 2026大会の概要
2026年大会(第44回)は、2026年1月22日〜2月1日にフランス・タルブのParc des Expositionsで開催され、入場は無料。
日程の流れは、1/22–23が国内予選(National Qualifying)/1/24–25が国際予選(International Qualifying)/1/26から本戦(Main Draw)という構成です。
日本から、オトリエ龍馬選手、山中怜汰選手、岩佐綾香選手、奥山し渚選手が参戦しています。
公式サイト▼
ドロー▼
大会フォーマット(2026)
- 本戦(1/26〜2/1):男女各64ドロー(46 Direct、2 SE、8 Qualifiers、8 Wild Cards)
- 国際予選(1/24–25):男女各48ドロー(41 Direct、7 Wild Cards)
- 種目:男女シングルス/男女ダブルス/コンソレーション(男女各32:本戦1回戦敗者対象)
- コート:屋内ハード(Greenset)/競技9面+練習4面
- 公式球:WILSON Roland Garros All Court
- 参加費:本戦150€、予選110€
エントリーと現地手続き(2026の重要日程)
- エントリー開始:2025/12/1
- エントリー締切:2025/12/30
- 予選サインイン:2026/1/23 18:00(現地時間)
- 本戦サインイン締切:2026/1/25 18:00(現地時間)
宿泊・帯同まわり(要点)
ホスピタリティ(宿泊・食事提供)の対象期間や、本戦入りしている国の「公式コーチ1名のみ」無料宿泊対象など、帯同条件もルール内で示されています。
現地イベント(公式イベントページより)
昨年(2025年)は開会式/バースデー・セレブレーション(入場無料)が行われました。具体的には、代表団のパレード、市長によるメダル授与、ボランティア紹介、ダンスショーなどだそうです。
2026年はどんなイベントが行われているのでしょうね。
ビレッジ(飲食:レストラン出店)
会場内のビレッジには、飲食店がいくつかの出店していて、食事を楽しむことが出来ます。
- Self-Service Sodexo:ランチ&ディナー/13€(ワイン込み)/大会期間中に8,000食を準備
- La Storia by L’Europe:レストラン/ランチのみ/コートを見渡せるパノラマビュー
- L’Europe:ブラッスリー&タパス/ランチ&ディナー/スクリーン近くのテーブル
憧れを計画に変える――日本の小6〜中2のための出場ルート
「Les Petits Asに出てみたい」と思っても、最初にぶつかるのが“どうやって出るの?”問題です。
ここからは、日本のジュニア(小6〜中2)目線で、出場ルートをできるだけ迷子にならないように整理します。
対象は「U14」=小6後半〜中2が中心
Les Petits AsはU14(14歳以下)の大会です。日本の学年感で置き換えると、だいたい次のあたりが挑戦ゾーンになりやすいでしょう。
- 小6(特に早生まれ)
- 中1
- 中2(誕生日次第でぎりぎり)
ここでのポイントは、学年ではなく誕生日で区切られることです。同じ“中2”でも、開催期間中に14歳を超えるかどうかで可否が分かれます。
親子で話し合っておきたいことは、「その年の開催日程に照らしてU14に入るかどうか」。ここが明確になると、計画が立てやすくなります。
いちばん基本の道:Tennis Europeからエントリーする
タルブへ向かう基本ルートは、Tennis Europeのシステムを通じたエントリーです。まず必要になるのがIPINコード(国際選手登録番号)で、これを取得したうえでアカウントを整え、所定の手順で大会へ申し込みます。
なお、受け入れ(Acceptance)はTennis Europeのランキングや規定上の優先順が関わるため、事前にTennis Europeの大会で実績(ポイント)を積んでおくと、本戦や国際予選の「ダイレクト枠」に入りやすくなります。
タルブには「本戦」と「国際予選」の2つのステージがあります。まずはTennis Europeのシステムからエントリーし、その結果として本戦にダイレクトで入るのか、国際予選からのスタートになるのかが決まります(ワイルドカードなど別ルートもあります)。
つまり日本の選手が最初にやるべきことは、Tennis Europe経由で申し込みを完了させ、受け入れ結果を待つことです。
「国際予選」という現実的な入口――本戦まで“現地でつかむ”道
タルブ現地では、本戦の前に国際予選(International Qualifications)が行われます。ここは“前哨戦”というより、Les Petits Asの大会の一部として組み込まれた公式の予選で、勝ち上がればそのまま本戦のドローに入れます。
つまり、最初から本戦に入る選手(ダイレクトイン等)とは別に、「現地で勝って本戦をつかむ」ための入口が用意されているわけです。
国際予選に入れれば、タルブの舞台で世界の同世代と同じ条件で戦い、勝ち上がって本戦へ進める可能性が生まれます。
さらに本戦で早期敗退した場合でも、コンソレーション(敗者戦)が組まれる年があり、遠征が「一度負けたら終わり」になりにくい。予選→本戦→(必要なら)もう一つの実戦という流れがあることで、挑戦が“運”ではなく“計画”になっていきます。
アジア枠は年によって形が変わる――Asia Playoffsとワイルドカード
アジア地域では過去にAsia Playoffs(アジア予選イベント)が行われ、上位がタルブ本戦や予選へ進む流れが示されていた時期があります。一方で、開催条件が整わず実施されなかった年もあり、その際には各国・連盟にワイルドカード申請が案内された経緯があります。
タルブには本戦・国際予選それぞれにワイルドカード枠があるため、アジア(=日本)からの出場方法は毎年固定ではなく、Asia Playoffsの実施有無やワイルドカードの運用など、その年の制度によって変わることがあります。
実務としては、毎年次の3点を押さえるのが一番安全です。
- 今年はAsia Playoffsがあるのか
- あるなら、参加条件と選考方法は何か
- ない(または別形式)なら、ワイルドカード申請の窓口と締切はどうなっているか
思い立ったらすぐ準備――タルブ逆算スケジュール
2026年の要項では、エントリー開始・締切、サインイン(現地での参加確認)の期限がはっきり示されています。ここが早いので、準備は「思い立ったらすぐ」が正解になりやすい大会です。
- 小6〜中1の夏〜秋:海外遠征の土台づくり(パスポート、英語での試合運用、屋内ハード対策)
- 秋〜冬:その年のアジア枠の形を確認(Asia Playoffsの有無/ワイルドカード申請の要否)
- 12月:Tennis Europeでの手続きを最優先に(締切が早い)
舞台と道のり、どちらも学び――Les Petits Asの価値
Les Petits Asは世界で最も権威あるU14大会で、U14世代のジュニア世界選手権に相当する舞台です。街の熱量、運営の精度、世界から人材が集まる導線が重なり、タルブに「U14の世界」が立ち上がります。
そして、そこへ行く道はひとつではありません。本戦だけでなく国際予選という入口があり、アジア枠は年によって形が変わることもある。だからこそ、ルートを地図のように整理しておくと、挑戦が“憧れ”から“計画”に変わります。
「結果」よりも「環境」を読むと、Les Petits Asはもっと面白い
Les Petits Asは、ただの“強い子の世界大会”ではありません。
世界で最も権威あるU14大会として、U14世代のジュニア世界選手権に相当する舞台であり、そこに街の熱量、運営の精度、世界から人材が集まる導線が重なって、タルブに「U14の世界」が立ち上がります。
もし親子でこの大会を目指すなら、勝ち負けの先にあるものに目を向けてみてください。
予選から本戦、コンソレーションまでの流れ、国や地域による育成文化の違い、屋内ハードで求められる判断と準備。そうした“育成のリアル”を拾えると、テニスの見え方が一段深くなります。
引用元
- Les Petits As公式サイト(Tournament Presentation), 2019
- Les Petits As公式サイト(Rules / 14&U Tarbes 2026), 2019
- Les Petits As公式サイト(Winners Record), 2024-2025
- Les Petits As公式サイト(Match Center Draws: 2025 Finals), 2025
- Tennis Europe(Super Category), 2020
- Tarbes Tourisme(Les Petits As Le Mondial Wilson), 2026


