「知識の差は、ケガの回数の差になる。」
試合後、「少し肩が痛いけど大丈夫」と言う我が子。
その言葉を、どれくらい真剣に受け止めるべきなのでしょうか。
ジュニアテニス選手179人を調べたスポーツ医学研究は、“ケガを知らないまま競技を続けること”自体が、繰り返すケガにつながる明確なリスクであることを数字で示しました。
10〜16歳、179名から導いたデータ
本研究は、トルコの研究グループ(Abdioğlu ら)によって行われ、スポーツ医学の査読付き学術誌「Turkish Journal of Sports Medicine(2023年)」に掲載されました。
対象は、10〜16歳の競技レベルのジュニアテニス選手179名。
この研究では次の2点を同時に調べています。
- どこに、どれくらいケガをしているのか
- 選手自身が「スポーツ障害についてどれだけ知っているか」
つまり、「ケガの実態」と「知識レベル」の関係を、医学的に検証した研究です。
ジュニア選手に実際に多かったケガの部位
調査の結果、ケガが多かった部位は以下の通りでした。
- 肩:22%
- 肘:19%
- 足首:17%
- 手首:16%
- 膝:12%
いずれも、テニス特有の反復動作や急な方向転換で負担がかかりやすい部位です。
この研究では、上肢(肩・肘)のケガが特に多いことが明確に示されています。
「知識が低い選手」のリスクは、なんと約22倍
この論文で最も重要なのが、知識レベルとケガ回数の関係です。
研究では、選手を
- スポーツ障害に関する知識が高い群
- 知識が低い群
に分けて比較しました。
その結果――
「ケガに関する知識が低い選手は、2回以上ケガをするリスクが約22倍高い」という、非常に強い関連が示されました。
これは感覚的な話ではなく、統計的に有意な差として報告されています。
つまりこの研究では、「ケガを知らない=繰り返しケガをしやすい」という関係が、はっきり数字で示されたのです。
練習量が増えれば、そのリスクは上がる
さらにこの研究では、週間練習時間ともケガの関係を分析しています。
結果は明確で、練習時間が長い選手ほど、ケガの発生率が高い傾向がありました。
ここで重要なのは、
- 練習量が多い
- かつ
- ケガに関する知識が低い
この条件が重なると、リスクがさらに高まるという点です。
論文では、知識と練習量の両方がケガと関連していることが示されています。
「知らないまま続けること」自体がリスク
では、どんな知識を身に付ければいいのか?
それについては、この研究では示されていないので、また改めてコラムにしようと思います。
事実として明確に言えることがあります。
それは、
「ケガに関する知識を持たないまま競技を続けることは、医学的に見て明確なリスクである」
という点です。
論文が示しているのは、以下の現実です。
- ケガは偶然ではなく、一定の傾向がある
- 知識の低さは、繰り返すケガと強く結びついている
- 練習量が増えるほど、その影響は大きくなる
つまり、選手本人が“自分の体とケガを理解しているかどうか”が、安全性に直結することが示されているのです。
引用元
Abdioğlu, M. et al. (2023).
Adolescent tennis players’ injury profile and awareness level of sports injury.
Turkish Journal of Sports Medicine.

