テニスを通して、子どもが育ち、親もまた育てられていく。
子どもがラケットを初めて握った日から、コートに立つまでの時間。
そのすべてが、親にとっても“学びの連続”だったのではないでしょうか。
第10章では、これまでの歩みを振り返りながら、テニスが親子にもたらしてくれる本当の価値―「共に成長する時間」について考えます。
子どもの成長は、親の成長でもある
テニスを通して育つのは、子どもの技術や体力だけではありません。
試合で涙を流す姿を見て、親が「待つこと」を覚え、うまくいかない日々を共に乗り越えて、親自身も成長していく。
「もう少し頑張れ」より、「よくここまで頑張ったね」と言えるようになる。
それは、テニスが教えてくれる“親の成熟”です。
勝ち負けを越えたところにあるもの
試合は結果がつきものですが、本当に大切なのは“勝ったか負けたか”ではなく、どんな姿勢で臨んだかです。
- 諦めずにボールを追いかけたこと
- 仲間を応援したこと
- 自分で考えてプレーしたこと
それらが積み重なって、子どもの“生きる力”になります。
そしてその姿を見つめることで、親もまた「信じる強さ」を学んでいきます。
テニスがくれた「共にいる時間」
忙しい毎日の中で、親子が一緒に過ごせる時間は限られています。
だからこそ、テニスがくれた週末の朝や帰り道は、かけがえのない時間です。
勝っても負けても、ラケットバッグを肩にかけて歩くその後ろ姿に、親は「この子は確かに成長している」と気づく。
練習を見守り、試合で応援し、帰り道で笑う。
それだけで、テニスは“親子の絆を深める教室”になるのです。
テニスが教えてくれた“人を育てる力”
テニスは、「技術」よりも「人間力」を育てるスポーツです。
セルフジャッジでは誠実さを、ラリーでは粘り強さを、敗戦では謙虚さを学びます。
そして、コートの外では、感謝と礼儀を。
ボールを拾ってくれた相手に「ありがとう」と言えること。
負けた相手に「ナイスプレー」と言えること。
この一言一言が、テニスの本質であり、“勝てる選手”よりも“愛される人”を育てていきます。
未来へ ― 見守りながら、共に進もう
テニスは生涯スポーツ。
子どもが中学、高校、そして社会人になっても、ラケットを通じてつながり続けることができます。
これから先、親はだんだんと見守る側から、応援する側へ。
子どもは自分の力で歩み始める。
その一歩一歩の背中に、「楽しんでね」と笑顔で声をかけられたら、きっとその瞬間こそが、親にとっての“勝利”です。
まとめ
テニスは、勝つためのスポーツでありながら、本当は「人を育てる」ためのスポーツです。
子どもがテニスから学ぶこと、親がその姿から学ぶこと。
それがいつか、コートを越えて、人生を支える力になります。
今日もまた、親子の物語が、コートの上で続いています。

