第7章|練習&試合後の親の関わりが子どもを伸ばす― 結果より、“どう寄り添うか”がすべて ―

親子でテニス
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「勝った?」より、「どう感じた?」を聞ける親でいたい。

練習が終わった帰り道、試合を終えた夕方──。

子どもは、ラケットよりも重たい“気持ち”を抱えて車に乗り込みます。

そのとき親がかける一言が、次の練習の姿勢を決めることがあります。

この章では、「終わったあと、どう関わるか」に焦点をあて、心理学と実際の現場の声から、子どもが伸びる関わり方を紹介します。

目次

「言葉ひとつ」で、やる気は変わる

国際テニス連盟(ITF)の研究では、

“親から肯定的な言葉を受けたジュニア選手は、次の練習意欲と自己効力感(=自分を信じる力)が高い”
(引用元:ITF, 2024/Parental Influence on Junior Athletes)

つまり、「がんばったね」「今日はどうだった?」という声かけ一つで、子どもの脳が“次も挑戦しよう”と反応するのです。

逆に、「なんで負けたの?」「集中してなかったでしょ」と言われると、子どもは“評価される怖さ”を感じ、テニスが「楽しみ」から「義務」になってしまいます。

大切なのは、「評価」ではなく「共感」。

練習後の“帰り道5分”がゴールデンタイム

練習やレッスンが終わった直後は、
子どもの脳がまだ“学びモード”になっています。
このタイミングでの親の関わり方が、学びを定着させるカギになります。

🌱理想の関わり方
①「今日どうだった?」とオープン質問を投げる。
②「できたこと」を一緒に探す。
③「次はどんなことに挑戦したい?」と前向きに締める。

たった5分でも、子どもは“話を聞いてもらえた”ことで自己肯定感が上がります。

💬NGパターン
「コーチに何て言われた?」(=外の評価を重視)
「また同じミスしてたね」(=失敗への焦点)


試合後は、“反省”より“整理”を手伝う

試合後は感情が大きく動く時間です。
勝っても負けても、まずは静かに受け止める時間を作りましょう。

🔹勝ったとき
「すごいね!」より「がんばってきた成果が出たね」と努力をほめる

🔹負けたとき
「どうして負けたの?」ではなく、「どんなプレーが印象に残った?」と経験を言語化させる

心理学では、感情を“言葉にする”ことがストレスの軽減につながるといわれています。
(引用元:Gross, 2015/Emotion Regulation Theory)

つまり親の役割は、“反省会の進行役”ではなく“気持ちの整理係”。

「聞く」親でいることが、最強のサポート

多くの親が「何を言えばいいのか」と悩みますが、実は、言葉より“沈黙と表情”のほうが子どもを支えることが多いのです。

子ども:「今日はぜんぜんダメだった…」
親:「そっか。くやしかったね。」

このたった一言が、どんなアドバイスよりも心に響きます。

子どもは「共感された」と感じることで、次に立ち上がる力を取り戻します。

“言わない勇気”が、子どもの自立を育てる

練習後や試合後、親がついしてしまうこと。
それは「良かれと思ってのアドバイス」。

けれど、その言葉が子どもの中で「監視」に変わることもあります。

💡大切なのは、「次を信じて、言わない勇気」。
アメリカの心理学者キャロル・ドゥエック(Mindset, 2006)は、

“子どもは、失敗のあとに「信じてくれる大人」がいることで成長マインドを維持できる”
と述べています。

つまり、沈黙も“最高のサポート”のひとつ。

「また頑張れる」と思える空気をつくることが、親にしかできない応援です。


まとめ

練習や試合のあと、子どもが求めているのは“評価”でも“アドバイス”でもありません。

ただ、「見ていてくれた」「聞いてくれた」という安心感。
その一言、その表情が、次の挑戦の原動力になります。

親のやさしい関わりが、子どものテニスを“生涯の学び”に変えていくのです。


引用元

  • ITF (2024). Parental Influence on Junior Athletes.
  • Gross, J. J. (2015). Emotion Regulation Theory.
  • Dweck, C. S. (2006). Mindset: The New Psychology of Success.
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tennisphere
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