世界で戦う準備は、技術練習だけでは足りません。
前回は「怪しいDMに注意」というテーマでお伝えしました。
国際テニス・インテグリティ機関(ITIA)の2025年年次報告をさらに読み込むと、ジュニア選手の家庭が早い段階で知っておくべき“競技生活の現実”が多く詰まっています。
勝つための情報というより、続けるため・守るための情報です。
サプリメントは“自己判断で飲まない”が世界基準
報告書では、相談窓口「The Line」に寄せられた問い合わせの中に、
- Medication check(薬の確認)
- Supplement check(サプリ確認)
が多く含まれていました。
これは何を意味するか。
トップ選手や関係者の間では、薬やサプリを事前確認する意識が高いことがうかがえます。
ジュニア家庭では、身近なものほど見落としやすいかもしれません。
例えば
- 疲労回復サプリ
- 海外製プロテイン
- 花粉症薬
- 風邪薬
- 市販の栄養ドリンク
しかし将来国際大会やITFジュニアに進むなら、「口に入れるものは確認する習慣」 が早いうちから大切です。
英語力は成績だけでなく“身を守る力”
ITIAは選手向け教育を世界各地で実施し、オンライン講習も多数行っています。
将来海外大会に出る選手は、
- ドーピング検査説明
- ルール通知
- 大会運営からの連絡
- 不審な接触への対応
- 公式書類確認
など、多くが英語です。
聞き取れずに困る場面が、競技現場では実際に起こり得ます。
つまり英語力は受験のためだけでなく、自分のキャリアを守る実用スキルでもあります。
“真面目な子”ほど断れない。だから断る練習が必要
不正接触や怪しい依頼は、脅しよりも“親切”から始まることがあります。
- 応援してるよ
- 手伝いたい
- 紹介したい人がいる
- 少しだけ情報教えて
礼儀正しい子、真面目な子ほど、相手を傷つけたくなくて断れないことがあります。
ジュニア期から家庭で、
- 知らない人には返事を保留していい
- その場で決めなくていい
- 親に確認してからでいい
と教えることはとても重要です。
これは競技マナーではなく、自己防衛能力です。
プロを目指すなら“ルール学習”も練習の一部
報告書では、ITIAがジュニア選手への教育機会を拡大していると明記されています。
815人のジュニア選手が教育セッションや説明会に参加しました。
世界では、
- ラケット練習
- フィジカル
- 戦術
だけでなく、
- ドーピング規定
- 賭博禁止規定
- SNS注意
- 将来的な契約やエージェントとの関わり方
まで知識が求められる時代になっています。
日本でも今後、こうした知識差が大きな差になるかもしれません。
本当に必要なのは“相談できる家庭”
ITIAが新たに相談窓口を作った背景には、「困っていても相談しづらい人がいる」という現実があります。
これは家庭でも同じです。
子どもが、
- 変なDMが来た
- 薬飲んだけど大丈夫?
- コーチに言われて困っている
- 試合で嫌な対応を受けた
- SNSで嫌なことがあった
こうしたことを話せるかどうか。
強い家庭とは、厳しい家庭ではなく、困った時に相談できる家庭なのだと思います。
世界基準の育成は、技術+生活管理+知識
ジュニア育成というと、
- サーブ速度
- フットワーク
- 試合経験
に目が向きます。
でもITIA報告書から見える現実は、
- 口に入れるものを管理する力
- 怪しい話を断る力
- 英語で理解する力
- ルールを知る力
- 相談する力
これらも世界で戦う準備です。
強くなる準備と同じくらい、守る準備も大切です。
これを機に、ぜひ親子で一度話し合ってみてください。

