最終更新:2026年8月27日(予選の戦績は8月26日昼時点。錦織圭選手の2回戦の結果は判明次第追記します)
9月6日に開幕するUSオープンジュニアの前に、もうひとつの物語が始まっています。いま行われているプロのUSオープン予選のドローに、16歳の名前がいくつも並んでいるのです。
しかも、勝っています。今年のウィンブルドンジュニア王者は元世界152位を破り、16歳のジュニア世界3位は、元ウィンブルドンジュニア王者をわずか62分で退けました。
そしてその16歳が予選2回戦で対戦するのは——錦織圭選手。今季限りでの現役引退を表明した36歳と、世代交代の先頭を走る16歳が、同じコートに立ちます。
この特集では、ジュニアがどうやって「大人のUSオープン」に出ているのか、その仕組みと今年の顔ぶれ、そして日本のジュニアにとっての意味までを解説します。
いま予選で起きていること|10代が次々に白星
プロのUSオープン予選は8月24日に開幕しました(現地時間)。男女各128人が3回戦を戦い、勝ち抜いた各16人が本戦に進む仕組みです。
その初日と2日目だけで、ワイルドカードで出場する10代がこれだけ勝ちました。
- マイケル・アントニウス選手(16歳・ジュニア世界3位) 6-1, 6-2 元ウィンブルドンジュニア王者のヘンリー・サール選手(英国)に62分で勝利
- ジョーダン・リー選手(16歳・今年のウィンブルドンジュニア王者) 4-6, 6-3, 6-3 元世界152位のマーク・ラヤル選手(エストニア)に逆転勝ち
- アンドリュー・ジョンソン選手(17歳・ジュニア世界12位) 2-6, 6-2, 6-4 元トップ60のダニエル太郎選手に逆転勝ち
- フリエタ・パレハ選手(17歳) 6-3, 6-1 女子予選第9シードのケイラ・デイ選手(米国)に快勝
日本勢もこの「世代の波」と交錯しています。ダニエル太郎選手が17歳に敗れる一方で、日比野菜緒選手は16歳のジャネー・プレストン選手(ジュニア世界6位)に逆転勝ちし、ベテランの意地を見せました。
焦点の一戦|錦織圭選手(36歳)vs マイケル・アントニウス選手(16歳)
そして予選2回戦で、この特集のすべてが詰まった一戦が実現します。舞台はスタジアム17。錦織圭選手とマイケル・アントニウス選手の、ちょうど20歳差の対決です。
錦織選手は今季限りでの現役引退を表明しており、これが現役最後のグランドスラム。予選1回戦では第16シードのオフナー選手(オーストリア・元世界37位)を6-1, 2-6, 6-2で破りました。2014年に決勝まで駆け上がった、思い出の舞台での戦いです。
対するアントニウス選手は、ニューヨーク州バッファロー出身の16歳。今年の全仏オープンジュニア準優勝者で、ジュニア世界ランキングは3位。錦織選手が18歳で全米ベスト16に入った2008年には、まだ生まれていません。
試合は日本時間8月27日未明。結果はこの下に追記します。
🎾 予選の結果速報(随時更新)
【8月27日・予選2回戦】錦織圭選手が16歳との一戦を制す。予選決勝は日本人対決に
注目の20歳差対決は、錦織圭選手が6-4, 6-4のストレートで制しました。いずれのセットも立ち上がりは完璧。
セット後半はミスが増えましたが、それでもテンポを上げて攻め続ける、錦織選手らしいプレーで勝ちきりました。
敗れた16歳のマイケル・アントニウス選手も、最後までミスの少ない安定したプレーで応戦。ジュニア世界3位の実力が、プロの舞台でも通用することを示した2日間でした。
そして次の予選決勝は、日本人対決になりました。同じ日に坂本怜選手が第23シードのミュレール選手(フランス)を6-3, 6-3で破ったのです。
勝てば本戦という一戦で、最後の全米を戦うレジェンドと、おととしの全豪ジュニア王者が対戦します。舞台は再びスタジアム17です。
10代の2回戦結果
10代で予選決勝に進んだのは、17歳のフリエタ・パレハ選手ただ一人になりました。
- ○ フリエタ・パレハ選手 6-4, 6-2 シマノビッチ選手(予選決勝へ)
- ● リンコン選手 6-3, 4-6, 6-1 ジョーダン・リー選手
- ● ドラクスル選手 6-4, 6-2 アンドリュー・ジョンソン選手
- ● ダート選手 5-7, 6-0, 6-3 クリスティナ・ペニコバ選手
敗れた10代の「二刀流」の挑戦は、ここでいったん区切りです。彼らの戦いは、9月3日からのUSオープンジュニアに続きます。
日本勢はほかに、望月慎太郎選手が6-4, 6-1、日比野菜緒選手が6-4, 6-2で快勝し、そろって予選決勝へ。錦織選手・坂本選手と合わせて、本戦まであと1勝の日本人選手は4人です。
※凡例: ○=10代側の勝利/●=敗戦。スコアは勝者から先
※結果はUSオープン公式ドロー(8月27日確認)に基づきます。予選決勝は現地27日に行われ、日本時間28日朝に結果が出ます
きょう登場する10代(日本時間27日0時ごろ〜朝)
実は、勝負の一日は今日です。予選2回戦を勝てば、本戦まであと1勝。10代が続々とコートに立ちます。
- ジョーダン・リー選手(16歳) 対 ダニエル・リンコン選手(スペイン・2021年USオープンジュニア王者) 12番コート第1試合
- フリエタ・パレハ選手(17歳) 対 イリーナ・シマノビッチ選手(ベラルーシ) 12番コート第2試合
- アンドリュー・ジョンソン選手(17歳) 対 リアム・ドラクスル選手(カナダ) 6番コート
- クリスティナ・ペニコバ選手(16歳) 対 ハリエット・ダート選手(英国・第29シード)
- マイケル・アントニウス選手(16歳) 対 錦織圭選手 スタジアム17第4試合(詳しくは上の「焦点の一戦」へ)
注目は12番コートです。今年のウィンブルドンジュニア王者と、5年前のUSオープンジュニア王者がぶつかる第1試合に始まり、パレハ選手、そして日本の望月慎太郎選手(予選第6シード)へと続きます。
6番コートでは、おととしの全豪ジュニア王者・坂本怜選手も第1試合に登場。昨年のUSオープンジュニア女王、ジェリーヌ・バンドロム選手(ベルギー)も11番コートで2回戦を戦います。
なおジャック・セコード選手、アニカ・ペニコバ選手、ジョーディン・ハゼリット選手は1回戦で敗れました。この3人の挑戦は、来週からのジュニアの大会に続きます。
※対戦カード・コートはUSオープン公式スケジュール(8月26日確認)に基づきます。試合の進行により変わる場合があります
なぜジュニアが「大人のUSオープン」に出られるのか
出場ルートは大きく3つあります。年齢の条件はありません。プロの大会は、ランキングと推薦がすべてです。
① プロのランキングで出る
ATP・WTAランキングが足りれば、16歳でも大人と同じ土俵でエントリーできます。ジュニアの傍らでプロの下部大会(ITFワールドテニスツアーなど)を回り、ポイントを積んでいる選手たちです。
② ワイルドカード(主催者推薦)で出る
今年の10代の多くはこのルートです。象徴が、米国の「国内一冠=本戦切符」制度。全米18歳以下選手権(男子は開催地の名から通称カラマズー)の優勝者には、USオープン本戦のワイルドカードが与えられます。
今年はカラマズーを制したジャック・ケネディ選手(ジュニア世界15位)が男子本戦に、女子18歳以下を制したテア・フロディン選手(同31位)が女子本戦に、それぞれ直行しました。
海外にも似た仕組みがあります。今年の全仏では、全豪ジュニア女王の16歳・クセニア・エフレモワ選手(フランス)が本戦ワイルドカードでプロのグランドスラムを経験しました。
③ 「予選ワイルドカード・プレーオフ」で勝ち取る
今年から、予選ワイルドカードの最後の1枠を8人の若手で争う1日勝負のプレーオフが新設されました。男子は17歳のジャック・セコード選手、女子はジョーディン・ハゼリット選手(ジュニア世界24位)がここを勝ち抜いています。
今年の10代出場者一覧
ワイルドカード関連で出場する主な10代をまとめます。ジュニア世界ランキングは7月下旬時点です。
| 選手 | ジュニアでの顔 | 出場区分 |
|---|---|---|
| ジャック・ケネディ選手 | ジュニア世界15位・カラマズー優勝 | 男子本戦(WC) |
| テア・フロディン選手 | ジュニア世界31位・全米18歳以下女子優勝 | 女子本戦(WC) |
| マイケル・アントニウス選手(16歳) | ジュニア世界3位・全仏ジュニア準優勝 | 男子予選(WC) |
| ジョーダン・リー選手(16歳) | 今年のウィンブルドンジュニア王者 | 男子予選(WC) |
| アンドリュー・ジョンソン選手(17歳) | ジュニア世界12位 | 男子予選(WC) |
| ジャック・セコード選手(17歳) | ジュニア世界20位 | 男子予選(プレーオフ勝者) |
| ジャネー・プレストン選手(16歳) | ジュニア世界6位 | 女子予選(WC) |
| フリエタ・パレハ選手(17歳) | 1回戦で予選第9シードを撃破 | 女子予選(WC) |
| アニカ・ペニコバ選手・クリスティナ・ペニコバ選手 双子・ともに16歳 | そろって予選ワイルドカード | 女子予選(WC) |
| ジョーディン・ハゼリット選手 | ジュニア世界24位 | 女子予選(プレーオフ勝者) |
※年齢・肩書きは2026年8月26日時点の各種報道・ITF公式リストに基づきます
※このほかランキングで予選に入っている10代もいます。ドローの全体は記事末尾の公式リンクから
プロ予選のあとにジュニア本戦——同じ会場の「二刀流」
見逃せないのが日程の構造です。プロ予選(8月24日〜27日)→プロ本戦(8月30日〜9月13日)→ジュニア予選(9月3日〜)→ジュニア本戦(9月6日〜12日)。すべて同じUSTAビリー・ジーン・キング・ナショナルテニスセンターで行われます。
つまり、プロの予選で敗れても、そのままジュニアの大会に回れる。実際、マイケル・アントニウス選手もジョーダン・リー選手も、USオープンジュニアのエントリーリストに名前があります。
プロの舞台で世界のトップと打ち合った経験を、1週間後のジュニアの大会に持ち込む。今年のUSオープンジュニアが「今年最強のジュニア決定戦」と呼べる理由のひとつが、この二刀流にあります。
そのジュニア本戦には、日本からも田畑遼選手ら3選手がストレートインしています。
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10代がニューヨークで起こしてきたこと
実は「10代の挑戦」は、この大会の伝統でもあります。
1991年には15歳のジェニファー・カプリアティさんがベスト4まで勝ち上がり、世界を驚かせました。2019年には15歳のココ・ガウフ選手が3回戦へ。敗れた相手の大坂なおみ選手がコートで涙のガウフ選手をねぎらった場面は、大会史に残る名シーンになりました。
そのガウフ選手は4年後の2023年、全米の女王になっています。
そして日本にも忘れられない例があります。2008年、18歳の錦織圭選手が全米でベスト16に進出。あのときの錦織選手も、ジュニア上がりの無名の挑戦者でした。
18年後のいま、その錦織選手が最後の全米で16歳の挑戦を受ける側に立つ——歴史は一周して、また新しい10代の物語が始まっています。
日本のジュニアにとっての意味
今年の予選に、現役ジュニア年代の日本人選手はいません。米国の10代が多く出ているのは、「国内18歳以下選手権の優勝者にプロ本戦のワイルドカード」という明文化された制度と、開催国として多くの推薦枠を持っているからです。
日本には、全日本ジュニアを制してもプロのグランドスラム本戦切符がもらえる仕組みはありません。この差は、育成の考え方の違いとしてとても興味深いところです。
ただし、道がないわけではありません。ジュニアで世界を経験した日本の若手は、ランキングを積んでプロの予選にたどり着いています。
今年の予選では、元ウィンブルドンジュニア王者の望月慎太郎選手が第6シードとして4年連続の2回戦へ。おととしの全豪ジュニア王者の坂本怜選手も、世界239位に逆転勝ちして2回戦に進みました。
ジュニアの大会はゴールではなく、プロの入口と地続きにある——ニューヨークの2週間は、そのことをはっきり見せてくれます。
よくある質問
Q. なぜジュニアの選手が大人のUSオープンに出られるのですか?
A. 出場に年齢の条件がないからです。ATP/WTAランキング、ワイルドカード(米国は全米18歳以下選手権優勝者に本戦WCを付与)、今年新設の予選WCプレーオフという3つのルートがあります。
Q. 錦織圭選手と対戦する16歳は誰ですか?
A. 米国のマイケル・アントニウス選手です。今年の全仏オープンジュニア準優勝者で、ジュニア世界ランキング3位。予選1回戦では元ウィンブルドンジュニア王者のヘンリー・サール選手を62分で破りました。
Q. 10代選手の結果はどこで見られますか?
A. USオープン公式サイトの男子予選ドロー・女子予選ドローで確認できます。注目の結果はこの記事の速報枠にも追記します。
Q. ジュニアの大会(USオープンジュニア)はいつ始まりますか?
A. 予選が9月3日、本戦が9月6日に開幕します。日本勢の出場予定と速報は完全ガイドにまとめています。
プロの予選を戦う16歳と、ジュニアの頂点を狙う16歳は、同じ選手たちです。
9月6日にUSオープンジュニアが開幕するとき、「あの選手はプロの予選でどこまで行った選手か」を知っているだけで、見え方はまるで変わります。この2週間のニューヨークを、ぜひ地続きの物語として楽しんでください。
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出典・参考:
・US Open 2026 男子予選ドロー(USオープン公式・2026年8月26日確認)/同 女子予選ドロー
・錦織圭が予選1回戦突破!元世界37位とのフルセットマッチを制して2回戦へ(テニスクラシック)/日比野菜緒が予選2回戦進出!16歳プレストンに逆転勝ち(同)/坂本怜が逆転で全米OP予選2回戦へ(同)
・望月慎太郎 4年連続で全米OP予選2回戦進出(tennis365.net)
・錦織圭 最後の4大大会 全米予選2回戦は日本時間27日(スポーツ報知)
・American Teens Making Noise at U.S. Open Qualifying(World Tennis Magazine)/Jack Kennedy earns US Open main draw spot with Kalamazoo win(同)
・2026 US Open Wild Cards・予選WCプレーオフ(ZooTennis)
・Ksenia Efremova(Wikipedia・全仏2026本戦WC)
本記事の内容は2026年8月26日時点の情報に基づいています。試合結果・出場選手は随時更新される場合があります。最新情報は大会公式サイトをご確認ください。

