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ジュニア選手の恋愛との向き合い方④「君だけは特別」グルーミングの危険性について

コートで肩を落とす女子ジュニアテニスプレーヤー。
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本当に大切な関係は、「秘密」によって守られることはない。

ここまでのシリーズでは、恋愛そのものは悪いことではなく、向き合い方が大切だという話をしてきました。

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遠征先で誰かを好きになることもあるでしょう。SNSを通じて仲良くなることもあるかもしれません。

しかし残念ながら、恋愛感情や「好かれたい」という気持ち、あるいは信頼関係を利用しようとする人が存在することも事実です。

近年、スポーツ界を含むさまざまな場所で問題視されているのが「グルーミング」と呼ばれる行為です。

今回は、ジュニア選手と保護者が知っておきたいグルーミングについて考えてみたいと思います。

目次

グルーミングとは何か

グルーミングとは、子どもや若者の信頼を少しずつ得ながら、不適切な関係へと誘導していく行為のことです。

この言葉を聞くと、危険な人物が突然近づいてくるイメージを持つかもしれません。

しかし実際には、その逆であることが少なくありません。

最初は、

  • 親切にしてくれる
  • 相談に乗ってくれる
  • 応援してくれる
  • 励ましてくれる

そんな存在として近づいてきます。

だからこそ気づきにくいのです。

グルーミングの怖さは、「最初から危険には見えないこと」にあります。

「君だけは特別」が始まりになることもある

恋愛感情や憧れの気持ちは、人を成長させることもあります。
しかし、その気持ちを利用しようとする人もいます。

例えば、

「君は他の選手とは違う」
「君だけには話せる」
「一番応援しているよ」
「これは二人だけの秘密ね」

そんな言葉をかけられると、特別な存在になれたような気持ちになるかもしれません。

特にジュニア年代では、

  • 尊敬
  • 憧れ
  • 信頼
  • 恋愛感情

を完全に切り分けることは簡単ではありません。

だからこそ、「特別扱いされている」と感じたときほど、一度立ち止まって考えることが大切です。

テニスだからこそ起こりやすい側面もある

テニスのような個人スポーツでは、選手とコーチの距離が近くなりやすいという特徴があります。

例えば、

  • コーチと選手が1対1で練習することが多い
  • 試合や遠征について個別に相談する機会が多い
  • 長い期間にわたって同じコーチから指導を受けることがある
  • 遠征で長時間行動を共にすることがある
  • 保護者が常に帯同できるとは限らない

といった環境は珍しくありません。

こうした関係は、選手の成長にとって大きな力になります。実際に、多くの選手が信頼できるコーチとの出会いによって成長していきます。

また、ジュニア選手にとってコーチは、技術を教えてくれる存在であるだけでなく、進路や将来について相談する相手になることもあります。

だからこそ、信頼関係はとても大切です。

一方で、選手がコーチを強く信頼するからこそ、その関係が悪用されてしまうケースがあることも世界中のスポーツ界で指摘されています。

大切なのは、大人を疑うことではありません。
「信頼しているから絶対に大丈夫」ではなく、「どんな相手であっても健全な距離感は必要」ということを知っておくことです。

信頼」と「依存」は違うということを理解しておくことも大切です。

沈黙してしまう子どもたち

近年、ジュニアアスリートと指導者の関係を描いた映画「 ジュリーは沈黙したままで」が注目を集めました。

将来有望な15歳の女子テニス選手ジュリーは、ある出来事をきっかけに心と口を閉ざすようになります。

この作品は、ジュニアアスリートと指導者の関係の中で、子どもがなぜ声を上げられなくなるのかを静かに問いかける作品として注目を集めました。

子どもにとって、尊敬する大人や信頼している指導者との関係は非常に大きな意味を持ちます。

だからこそ、

「自分が悪いのかもしれない」
「迷惑をかけたくない」
「大ごとにしたくない」

と考えてしまうことがあります。

グルーミングについて考えるときに大切なのは、被害を防ぐことだけではありません。

もし困ったことが起きたときに、安心して相談できる環境を作ることも同じくらい重要なのです。

保護者と選手が知っておきたい危険信号

もちろん、特定の言葉だけで相手を判断することはできません。

しかし、次のような状況が続く場合には注意が必要かもしれません。

  • 「親には言わないでね」と言われる
  • 「二人だけの秘密」と言われる
  • 他の選手には内緒の連絡が増える
  • 特別扱いが目立つようになる
  • 保護者やコーチから距離を取るよう促される

本当に信頼できる関係であれば、周囲から切り離される必要はありません。

秘密が増えるほど、冷静な判断は難しくなります。

もし少しでも違和感を覚えたら、一人で判断しようとせず、信頼できる大人に相談することが大切です。

本当に信頼できる大人は「秘密」を求めない

世の中には素晴らしいコーチや指導者がたくさんいます。

選手の成長を第一に考え、夢を応援し、時には人生の支えになってくれる大人もいます。

だからこそ伝えたいのは、「大人は怖い」ということではありません。

大切なのは、

  • 違和感を無視しないこと
  • 困ったら相談すること
  • 一人で抱え込まないこと

です。

本当に信頼できる大人は、子どもを孤立させません。
秘密を強要しません。

そして、子どもが安心して相談できる環境を大切にします

保護者やコーチにできること

グルーミング対策として最も大切なのは、会話です。

「今日どんなことがあった?」
「誰と話した?」
「楽しかったことは?」
「困ったことは?」

そんな何気ない会話が、子どもを守ることにつながります。

もし何か問題が起きたとしても、

「なぜ言わなかったの?」

ではなく、

「話してくれてありがとう」

と言える大人でありたいものです。

子どもが安心して話せる場所を持っていること。それが最大の予防策になるのかもしれません。

まとめ

恋愛は悪いことではありません。

遠征で誰かを好きになることもあります。SNSで仲良くなることもあります。

しかし、どんな関係であっても、自分自身を大切にすることは忘れてはいけません。

本当に良い関係は、あなたの夢や成長を応援してくれるものです。
恋愛も人間関係も、自分を幸せにするためにあるものです。

そして本当に信頼できる相手は、あなたを孤立させるのではなく、あなたの世界を広げてくれるはずです。

それが、このシリーズを通して伝えたかったことです。

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引用元

Brackenridge, C. (2001). Spoilsports: Understanding and Preventing Sexual Exploitation in Sport.

IOC (International Olympic Committee). Safeguarding Athletes from Harassment and Abuse in Sport.

U.S. Center for SafeSport. Grooming and Boundary Violations Resources.

映画『ジュリーは沈黙したままで』(2024)

コートで肩を落とす女子ジュニアテニスプレーヤー。

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